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電信柱の陰から(尊敬する人)

小生の小学校高学年までの原田家の年末年始の行事は。大晦日、NHK紅白が終わり、ゆく年くる年が始まると家族で川崎大師に初詣。元旦は雑煮でブランチ&年賀状閲覧。2日の午前、父親の上司である部長さん宅にお年賀の挨拶回り。その午後から父親の実家(田舎)である秋山(山梨県の神奈川より)に行き、2晩ほど花札とトランプ。(父親の兄弟は12人、いとこ24人が一同に)が恒例行事でした。
なぜだかいまだに、「父親が部長さん宅の玄関先で背の高い体を縮めるようにして、新年のご挨拶している姿」を「少し離れた電信柱の陰から眺めていた」光景を思い出します。

小生の父親正男さんは、山梨の秋山村で生まれ育ち、予科練通学中に終戦を迎えたので学歴としてはたぶん「中学卒」。その後村の郵便局、保険の外交などいくつかの職を転々とし最後にたどり着いたのが船舶貿易会社。あろうことか「大学出」という「学歴詐称」をしていたようで、それがばれて危うく首になるところを目黒区の部長さんに救ってもらった恩があり「毎年の新年のご挨拶」が続いたようです。

そんなわけで。正男さんはどんなに頑張っても「定年まで平社員」。部下がどんどん自分を追い越して偉くなっていくのをただただ我慢我慢。いやなこと辛いこと、たくさんあったと容易に想像できますが、あさ6:30出勤し夜遅くまで、タンタンと粛々とやめずに最後まで頑張ってくれました。小生の尊敬する正男さんのお話でした。