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お腹、お尻、おしっこの話

胃の痛み

『先生、胃が痛いんですけど。』と言って患者さんは来院されます。
患者さんは、おへその上・みぞおちあたりの痛みを「胃の痛み」と表現しているようですが、まあ当たらずとも遠からずといったところでしょうか。

おへその上、みぞおちあたりの痛みを心窩部痛といいますが、病気の種類によって、痛みがおこる時期と程度に違いがあります。典型的な痛みと病気との関係を以下に示しました。

胃の痛みと病気との関係

痛みの時期・程度 考えられる病気
朝方、ご飯を食べる前や、お腹がすいたときの痛み 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ご飯を食べたあと、または常に痛い 胃潰瘍・胃がんなど
お酒をのんだあと、油物を食べたあとの、冷や汗が出るくらいの痛み 翠炎・胆石など

胃潰瘍や十二指腸潰瘍のほとんどは、H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターという薬を使用します。その中でもタケキャブの薬をお勧めし、この薬で改善しない場合は他の病気を考えます。
しかし、胃がんもこれらの薬を服用すれば痛みが和らぐため、放っておき胃がんが進行してしまうことに注意が必要です。40歳以上で「胃の痛み」があれば、一度、胃内視鏡か胃透視の検査を受けてください。
翠炎や胆石は、我慢せずにすぐ病院に行きましょう。

虫垂炎と「胃の痛み」

皆さんがよく言う「盲腸」は本当は虫垂炎と言います。

虫垂炎の初めの症状は「胃の痛み」として起こる場合があり、その痛みも徐々に右下腹部に移動します。熱と「胃の痛み」があり、その痛みが右下腹部に移動する場合は虫垂炎を疑い、外科を受診してください。

お腹の風邪や食あたりに下痢止めを飲んでよいか?のお話

下痢をピタッととめてしまうと悪い菌やウイルスがお腹の中で増殖してしまい、症状を長期化させ悪化の原因にもなります。基本的に下痢止めは内服しないほうがよく、ビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌を増やして悪い菌を追い出す治療をお勧めしております。(特に小児の場合)

とはいっても水様性の下痢(水のような下痢)が続けばつらいですし、脱水にもなりますので下痢止めを使い、軟便(やわらかい便)になるぐらいに調節します。ここが医者のさじ加減。。。

腹痛でこられる方の中に虫垂炎の方がいらっしゃいます

腹痛でこられる方の中に虫垂炎(通称盲腸)の方もいます。虫垂炎の初期は「胃の痛み」を訴える方がいます。その後右下腹が痛くなります。一般に下痢はしません。飛び跳ねて、右下腹が「ヒビク」ような痛さなら、腹膜炎を起こしていますのですぐに病院に。

お腹の風邪と食あたりの違いについて

両者とも嘔吐下痢発熱をともなう場合が多く、症状はよく似ています。治療は両者とも食事制限、整腸剤内服、症状の強い場合は点滴と抗生剤投与になります。

もう一度おさらい:お腹の風邪(お腹の調子悪いとき)には無理に食事はとらないこと。食べられてもお粥とかうどんで1回は少なめ。

食べた物によってお腹の動きが違います。腸を動かす強さの順番は、脂肪 > 炭水化物 > 糖 > 水分です。(腸の場所によって多少異なりますが)ですから、お腹のゴロゴロする場合、下痢や便のゆるい場合、むかむかする場合は、揚げ物、炒め物、肉、生ものは避けましょう。人によって異なりますが牛乳も避けたほうがよいかも。ヨーグルトはだいたいOK。

胃酸と胃のもたれ

胃酸が十二指腸に流失すると胃が少し拡張するがそれ以上拡張せず、胃のもたれになること。ストレスが腸の動きと知覚に関与しているようです。

男の頻尿・女の頻尿

トイレが近い、あるいは1日に10回以上もおしっこに行くことを頻尿といいます。頻尿の主な原因は男性と女性で異なります。その原因と特徴、治療、と予防についてお話しします。

まず、男性の頻尿で多い病気が前立腺肥大です。前立腺とは尿道の潤滑油みたいなものを分泌する、膀胱の下にあり、尿道(尿の通り道)にマフラーのように巻きつくように存在する小鶉卵大の臓器です。これが腫れてくると特徴的な3つの症状が出ます。

(1)夜間の頻尿:夜何回もトイレに行く。
(2)排尿障害:尿を出そうと思ってもなかなか出ない。尿が細くなる。尿を出すのに時間がかかる、など。
(3)残尿感:排尿後にまだ残った感じあるいはまだ出たい感じがする。

以上のような症状を認めた場合、内服薬が有効となります。

予防としては、
トイレを我慢しないこと。下腹部を冷やさないこと
お茶やお水をどんどん飲んで、尿を多く出すように心がけること外尿道口(尿の出口)を清潔にすることとなります。

女性の頻尿の原因の多くは、膀胱炎です。膀胱炎の3つの症状は、頻尿、残尿感、排尿時痛で、抗生剤の内服が有効となります。
あと40、50歳代の女性に意外に多いのが、更年期の神経過敏に伴う頻尿です。この特徴はとにかく尿意が多く残尿感も強いのですが、他に神経が集中することがあるとその間は何の症状も無いのが特徴です。内服薬が有効です。

血便黒と赤

『先生、お尻から血が出ました。』と言って患者さんが来院されます。
『お尻から血が出る』あるいは排便時に出血することを、血便、あるいは下血といいますが、一口に血便と言っても、出血の部位や病気の種類によって、便の色や性状に大きな違いがあります。つまり、便を見るだけで出血の場所と、出血の原因がわかる場合があり、便は腸の健康状態のバロメーターといえます。

例えば、お尻の入り口(肛門)に近い場所からの出血は鮮やかな赤い血が混ざり(鮮血といいます)、反対にお尻の入り口から遠い、腸の奥の方からの出血であれば、暗褐色あるいは黒い便となります。
血便と比較的多い病気との関係と、その対処法を以下にまとめましたので参考にしてください。

血便と病気との関係・対処法

痛みの時期・程度 考えられる病気 対処
赤い血が排便後にぽたぽた落ちる
拭いた紙に赤い血がつく、排便時の痛み
内痔核 外科・肛門外科に相談
赤い血が便に混じる
お腹がはる
便が細い
便が出にくい
肛門に近い所の潰瘍・がん
(直腸がん・S字結腸がん)
胃腸内科・胃腸外科・
外科・肛門科に相談
タール状の黒い便 胃・十二指腸・小腸潰瘍 胃腸内科・胃腸外科に相談

大腸がんと結腸がん・直腸がんはどう違うのか?

大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸、直腸に分類されます。
つまり大腸がんは、各部位にできたがんの総称となります。

排便時お尻を痛がるとか、ウンチに血が混じるとか、拭いた紙に血がつくというお子さんが来院されます。この場合はいわゆるイボ痔、切れ痔(病名は内痔核、裂肛といいます。)にあたると思われます。この病気は悪いものではありませんが、[便秘がひどい]-[排便時に力む、あるいは硬い便が出る。]-[痔が悪化する]-[排便時に痛みがあるから便を我慢する]-[便秘がひどくなる]という悪循環に陥る場合があり、どこかでこの悪循環を断ち切る必要があります。

さて便秘の場合の医療機関を受診するタイミングですが、ほとんどの場合は食生活に気を配り日常生活を規則正しくすることで様子を見ます。長期にわたる頑固な便秘や、腹痛吐き気をともなう便秘の場合は、病気がかくれている場合がありますのでかかりつけの先生に相談してください。余談ですが、咳止めの薬は便秘の原因になります。飲んでいる薬にも注意しましょう。

お尻から出血した場合、基本的には医療機関を受診し他の病気はないかのチェックと患部への付け薬をもらってください。お尻のケアの原則は「冷やさない、(排便時)力ませない、清潔にする」となります。ちなみに大人の場合は、「長時間の同じ姿勢は避ける、アルコールと刺激物は避ける。」が加わります。

「慢性腎機能障害は怖い」のはなし

(1)糖尿や高血圧などの病気の人で腎臓病が合併すると、治療が困難なため、腎臓病の早期発見早期治療が必要。
(2)透析患者さんは、一人年間500~600万円の医療費がかかっている。そのため透析を1年でも遅らせる努力が医療費削減につながる。
(3)腎臓病で低パンパク食の人も「週に1日ぐらい気にせず食べてよい」だから1泊旅行もOK。
(4)腎臓病の人はアルコールはOK(糖尿、高血圧の合併している人は注意)

昭和大学藤が丘病院吉村先生の「慢性腎機能障害は怖い」のはなしでした。